巨大化したギーァが、力尽きた愛乃はぁとの身体を吐き出した。
服が僅かに溶解して、服の隙間から下着や白い肌が垣間見える。
「愛乃はぁと捕獲完了」
仰向けに倒れる少女を見つめながら、リーゼロッテは彼女の手首に巻かれている赤いリボンを静かに紐解いた。
「綺麗な身体だね、お姉ちゃん。これなら、"お姉ちゃん"も大丈夫だね」
「・・・・・・ここは?」
「あ、起きた」
はぁとのぼやけた視界が、やがてはっきりとした。
「あなた………」
記憶がはっきりとする。
ゴスロリ風の少女が、闇のアルカナを従えて襲ってきたのを。
やがて闇のアルカナが巨大化して、飲み込まれてから記憶がない。
「どうして、こんなこと・・・・・・!」
身体が拘束されているのに気付く。
はぁとのリボンで、後ろ手に縛られ、さらに足首を地面から生えた黒い手ががっしりと握り締めている。
「は、離してよお!」
「やだ」
「離してぇ!」
「黙れ、ばか」
リーゼロッテは、はぁとの周囲を腰を落としながら歩いている。
何をしているの、と足元を見てハッとした。
黒いチョークを手に、円と図を、そして怪しげな古代文字を描いている。
「な、何してるの!」
「魔方陣」
「な、何の為に?」
「………」
くるりと顔を向けた。
はぁとの身体へ手を伸ばすと、襟に手を差し込んだ。
そのまま下へと破った。
「イヤッ!」
隆起のやや薄い乳房が現れ、はぁとの顔が赤面した。
☆
「お姉ちゃん、あんまり大きくないんだね」
「う、うるさいっ!」
「けど、綺麗な色」
リーゼロッテが、はぁとの乳首を静かに含んだ。
「んっ!」
舌で乳首を弄ばれる、手で乳房を揉みしだかれる度に、はぁとの身体が上下する。
「……感度いい」
「イヤッ!こんなこと止めて!」
「ヤ」
「………パルちゃん!お願い!」
はぁとが叫んだ瞬間、彼女の頭上に光があった。
背に翼を生やした女神が、手に光球を宿し、立っている。
・・・・・・立っているだけで。
「ど、どうしたの!?パルちゃん!」
「よく見ろ、ばか」
「っ!?」
首筋と乳首に、冷たい感触があった。
上半身だけの、不気味な女の人形。
その鋭い爪が、首筋に添えられ、もう一つが乳首を抓んでいる。
ぐっ、乳首を抓む爪が狭まり、僅かに血が滲む。
「痛っ!」
「お姉ちゃん助けようとして、お姉ちゃん死んだら意味ないし」
思い出した、この人形を。
襲われた際、少女とアルカナに気を取られて、何度も不意を突かれたことを。
「大丈夫、お姉ちゃん殺さないから。殺さないだけだけど」
「・・・殺さないだけ?あっ!」
リーゼの指が、下着に伸びていた。薄い恥毛と、過敏な秘所を撫でている。
「あれ」
手を出して、はぁとの眼前で指と指を広げた。
「べとべと」
「…………!」
「えい」
ぐい、と下着を引き剥がすと、股間から糸が伸びている。
「…………!」
「ねえ、べとべとだよ」
ぐちょぐちょと音を立てながら、リーゼの指がさらに撫で付ける。
「どうして?どうしてこんなにべとべとなの?」
☆
「そ、そんなの知らないよ!そんな!あっ!」
「へえ」
ずっ、リーゼの細い指が僅かに秘所に差し込まれる。
びくり、とはぁとの顔が上がった。紅潮した顔は、歯を強く噛み締めている。
「………へえ」
リーゼがはぁとの顔を見る。必死に堪えようとするはぁとの赤い顔を。
「面白いね、これ」
「いや………!そんなに動かさない………で!」
ずぶずぶと音を立てて、指を前後させる。その度にはぁとが身悶えし、身体を震わせた。
「パ………パルちゃん!た、助け………!」
が、愛の女神パルティアスは動かない。いや、動けるはずもなかった。
はぁとの首筋には今尚、人形の鋭い爪が突き立てられている。
「…………お姉ちゃん、すごいね」
リーゼが指を離した。愛液に塗れた手で、はぁとの頬を撫でる。
顔は真っ赤に染まり、目には涙を浮かべている。
息が荒く、困惑と恍惚が入り混じった表情を浮かべている。無理もなかった。
初めて感じてしまった快感の味が、彼女の意識を朦朧とさせている。
「………ここも固い」
乳首を指で抓みながら、リーゼが顔を上げる。はぁとの反応は、鈍い。
「ねえ、お姉ちゃん?」
「……………」
「………つまんない。えい」
ずぶり、深々と指を突き入れた。
ひやっ、はぁとが身体を跳ね上げる。
「あ、起きた」
「痛、………痛い、痛い!」
構わず指を、遠慮もなしに指の付け根まで何度も突き入れた。
「ひゃ、やめて!痛、お、おかしくなっちゃっ!」
と、突然指が抜かれた。
「あ、まだ!」
言って、さらに顔を赤らめた。
「………お姉ちゃん。変。嫌なの?好きなの?」
「そ、そうじゃなくて!」
「まあいいや」
リーゼの指。
僅かに赤い糸を引いていた。破瓜の血が混じっている。
「お姉ちゃん、続きをしてあげる。私じゃないけど」
☆
「最も汚らわしきに近き、最も純潔たる血を以って、我、汝に命ずる」
汝、そう呼んだ瞬間、足元にある魔方陣が呼応するように光り、脈動した。
はぁとの破瓜の血を帯びながら、地に、魔方陣の中央にルーン文字を記す。
「ギーァ、血の契約を行使せよ」
その瞬間、黒い影が魔方陣から浮かび上がった。
影は霧のようであったが、それが徐々に集まり、人の形を成していく。
少女だった。
はぁとと同じほどの、ほぼ同じ背で、風変わりなくせっ毛もそのままの少女。
はぁとと瓜二つの、黒い影。
「………わ、わたし?」
「………彼の者の姿を以って―――」
はぁとの顔がびくりと動いた。黒い影の股間に、唯一違う異形のものがあったからだ。
太々とした男根が、ある。
リーゼの口元が小悪魔のように微笑む。
「抱いて、壊しちゃえ」
黒い影が、いや、黒いはぁとが、はぁとに襲い掛かった。
「い、いや!」
抵抗むなしく押し倒される。両手を後ろ手に縛られていては反撃など不可能だった。
ぐい、と男根が秘所に押し付けられる。
「やだ!怖い!やだよ、やめてよ!」
黒いはぁとは、その姿を真似た本人の怯えが面白いのか、静かに笑った。
男根が無慈悲に突き入れられる。はぁとの身体が反り返り、悲鳴のような声を上げた。
☆
「・・・・・・いやあぁああっ!!・・・・・・・・・」
甲高い悲鳴が、次第に途切れてゆく。
野太い男根を膣に押し込まれ、はぁとの身体が小刻みに震えている。
「……お姉ちゃん」
リーゼが横に立って、汗と涙に塗れたはぁとの顔を覗く。
痛みに歯噛みし、恥ずかしさに顔を赤らめている。
「いや………痛い………痛い……!」
「へえ、痛いんだ。けどまだ先っぽしか入ってないよ」
リーゼが、黒い男根の差し込まれた周囲を撫で回すと、はぁとが首を振るい悶えた。
痛み、だけではない。痛みの奥から感じられるもの、
快感に、はぁとは困惑を以って抵抗している。
「いや、お、お願い!………あっ!」
「お願い?」
「もう、・・・・・・もうやめて………」
哀願するようにはぁとが言った。潤んだ瞳が静かに微笑するゴスロリ少女を映す。
「・・・・・・ギーァ、遠慮はいらないよ」
「!」
「どんどん動いちゃえ」
黒いはぁとが、ギーァが動いた。
はぁとの身体を魔方陣に押し倒し、ずぶずぶと男根を突き入れる。
太々しいそれが中へ飲み込まれる度に、はぁとが身体をよじり、震えた。
「いや、痛い!痛い!やめ!あっ、はっ、あああっ!!!」
黒いはぁとが激しくはぁとの身体を揺さぶり続ける。
秘所から零れる血が、やがて愛液へと転じていく様を、リーゼは見つめている。
「いやっ!パルちゃん!助け・・・・・・ど、どうして!?」
涙を浮かべながら愕然とした表情を浮かべた。
☆
パルちゃんが、愛の女神パルティアスの姿が、見えない。
幼い日から常に一緒だった、彼女の守護精霊・アルカナが。
「え?」
リーゼはきょとんとした。彼女の背後にパルティアスは立っているではないか。
「どうして見えないの?パルティアスはそこ」
「・・・・・・・・・!!」
「こんな風にしてるからだよ」
黒いはぁととの繋がった箇所に、男根の隙間に指を差し込んだ。
それを上下するたびに、はぁとの身体も著しく上下する。
「や、やあっ!パルちゃん!サキちゃん!誰か、助けて・・・・・・!」
「無駄。いくら叫んでも」
魔方陣を指差す。はぁとははっとなって周囲を見回した。
魔方陣の周囲には摩りガラスのような壁が張り巡らされている。
路地裏の一角だった。
そこから馴染みの商店街が映り、ふと顔を知った四姉妹が通り過ぎた。
「あっ!舞織ちゃん!こっち!助けて!助けて!」
だが、声は届かない。四姉妹が談笑したまま壁の向こうへ消えた。
完璧に隔絶されていたのだ。魔方陣の外と、中とは。
絶望的な表情をはぁとが浮かべるのを、リーゼは微笑している。
「いい顔」
放心したはぁとの唇に、自身の唇を軽く合わせた。
その瞬間、リーゼの紅色の瞳がきゅっと細まる。
「ギーァ。・・・・・・もういいよ、出しちゃえ」
リーゼの言葉と同時に、黒いはぁとの身体が震えた。
同時にはぁとが、身体の中に未体験の熱が注ぎ込まれるのを感じた瞬間でもあった。
☆
「あ・・・・・・・・あ・・・・・・・・・」
はぁとが放心気味に呟く。
身体の奥から発した熱に、身体が、腰が小刻みに震えている。
瞳が弱々しくまどろみ、やや光を失っている。
「な・・・・・・何をしたんだよぉ・・・・・・」
「何って?別に大したことじゃないよ」
頭がふらふらとした。様々な感情・感覚が交錯して、意識が混乱している。
リーゼは、そんなはぁとの周囲を回っている。
「ただ、ギーァがね」
手が、後ろ手に縛られたはぁとのリボンへと伸びた。
するり、とリボンを解いた。あまりにも無防備に。
「お姉ちゃんの身体を」
「やぁああああっ!!」
はぁと、身を起こした。
拳を固めて、身を繋いだままの黒いはぁとの顔を殴りつけた。
が、途端、はぁとの顔が青ざめた。渾身の力を込めたはずなのに。
「あ~あ」
はぁとの拳は、黒いはぁとの顔に僅かに小突いた程度でしかない。
「・・・・・・力が入らない?きゃっ!?」
ギーァが、黒いはぁとがはぁとの背中へ腕を回し、乱暴に抱き寄せた。
「あ、うあぁあああっ!」
弾みで男根が深々と差し込まれる。ごりゅごりゅと鈍い音が鳴った。
「ギーァは優しくて滅多に怒らないのに殴ったりするから。ばか」
「やっ!やあっ!あっ!?」
はぁとの視界が歪んだ。意識が朦朧とし、混濁とする。
身体に自由が利かず、力が入らない。ただ成されるがままになっている。
☆
「何、これ・・・・・・?」
「ほら、ここ見て」
ギーァがはぁとの腰を抱くと、上体が力なく垂れた。
その前髪をリーゼが掴み、つつと撫でる臍部を見せた。
そこには、黒い痣のようなものが生じている。
「いや、何・・・・・・?」
「今ね。ギーァがね、お姉ちゃんの身体を食べてるの」
平然とした言葉に、愕然となる。
「食べてる・・・・・・・・・食べてる!?」
「そ。それでお姉ちゃんの身体を乗っ取るの。私のお姉ちゃんの為に」
カシャ、と人形がリーゼの手の中で揺れた。
「私のお姉ちゃん、こんな身体なの。だからね、お姉ちゃんの身体をもらうの。いいでしょ」
人形が、自然と反応してリーゼの顔を見た。あろうことか、声さえ発して。
「・・・・・・リーゼは優しいねえ」
「ね、いいでしょ」
「・・・・・・いや!いやだ!いやだ!そんなのいやだぁっ!!」
はぁとが腕を振り上げて黒いはぁとの背中を叩いた。
だが、闇のアルカナであるギーァに食われつつある身体に、力があるはずもなかった。
子供が腕をじたばたさせているに過ぎない。
その内に、黒いはぁとの身体が震え、一際強くはぁとを抱き寄せた。
「いやぁあああああっ!!!」
☆
体内に打ち寄せる熱にはぁとが悲鳴を上げる。
遅れて、意識を分断させるような衝撃に身体を貫ぬかれた。
黒いはぁとの腕が解かれると、力なく魔方陣に横たわった。
身体の自由が、もうほとんど利かない。
眠気にも似た疲労感・倦怠感が全身を襲っている。動こうとしても、指が僅かに動く程度だ。
虚ろな瞳で黒いはぁとを見る。その身体は色が薄れ、あたかも霊体のように後ろの光景が見えた。
それだけ、ギーァに身体を食われたことになる。
「・・・・・・・・・いや・・・・・・・・」
「へえ、凄い。普通の人ならここでもうお先まっくらなのに」
「・・・・・・・・・・・・」
言葉が、出ない。途切れ途切れの聞き取れない言葉しか。
腹部の痣は大きくなり、その中にルーン文字らしき古文字が浮かびだしている。
「ギーァ」
情け容赦なく、いやむしろ少し楽しそうにリーゼが言った。
呼応して、黒いはぁとがはぁとに押し寄せた。
「お姉ちゃん、後何回耐えられるかな?楽しみだね」
☆
声が聞こえる。
「結局、最後まで意識がもったね。あの人が言ってた、聖女さんだからかな?」
はぁとが虚ろな目を動かす。それ以外に動くものはない。
手足の先から顔に至るまで、身体のほとんどが闇に染められている。
黒いはぁとの姿はない。
「・・・・・・・・・!」
代わりに、リーゼの駆っていた人形が、その指で秘所をこじ開けようとしていた。
否定の為に、首を振ることさえ出来ない。
ずぶり、と人形の首が入った。
「バイバイ、お姉ちゃん」という言葉を最後に、頭の中が真っ白になった。
母親と大親友・冴姫の姿が浮かんだ。
☆
「あの時と同じ・・・・・・そんなことは絶対にさせないわ!」
やがて、人気のない路地裏へと入った。ここなら、人目にもつきにくい。
「・・・・・・ヴァンリー、行くわよ!」
他の者には見えない守護精霊、雷のアルカナであるヴァンリーが頷いた。
その魔力で冴姫の身体が浮いた。が、突如その身体を後ろから抱き締められた。
「なっ!何をするの!?」
「・・・・・・さーたん」
「は、はぁと!?どうしたのよ?最近、全然見なくて心配していたの・・・・・・」
冴姫の言葉が止んだ。強引にねじ込まれた口づけで。
「・・・・・・・・・!?」
困惑と戸惑いの顔が、やがて愕然となった。
膝ががくりと折れて、座り込んだ。身体に力が入らない。
「は、はぁと?」
「・・・・・・これもリーゼの為だから」
「リーゼ?・・・・・・ちょっ、しっかりして、どうしたのはぁと!?きゃあっ!!」
その声が僅かに聞こえる場所で、傍らにカバンを置き、少女が地面に落書きをしていた。
いや、緻密なそれは魔方陣である。鼻歌を歌いながら、カバンの上に載せてある人形に
語りかける。
「良かったね、お姉ちゃん。今度はお友達も一緒だよ」
前髪がピンと跳ねた少女の人形は、雨露でも落ちたのか、目元が濡れていた。